ふるはしかずおの絵本ブログ3

『黄色い星』- 明日、旗をおろすのは わたしだ

サブタイトルは、「ユダヤ人を守った国王とデンマークの人たちの物語」です。

   

   

1940年春

デンマーク王国の 国王は、クリスチャン10世でした。

   

   

王さまは、毎朝

馬に乗り、護衛を つけずに

コペンハーゲンの街を まわっていました

   

ナチスドイツが

デンマークを 占領し

王宮に ナチスの旗を かかげたとき

国王は、その旗を おろさせました

     

ナチスの将校は

旗をおろす 兵士を 撃つと 脅しましたが

国王は 毅然として いいました

明日、旗をおろすのは わたしだ

わたしを 撃つのかね

   

宮殿から、敵の旗が 消えたことは

ナチスに対する 抵抗運動の シンボルとなりました

   

    

ユダヤ人に対する迫害が はじまりました

 

 すべてのユダヤ人は、

 黄色い星の印を

 どんなときでも

 自分の胸に ぬいつけなければならぬ!

 

   

王さまは、悩みました

そして、

ユダヤ人を 助ける 方法を 思いつきました

    

 「牛は牛の群れのなかに、人は兄弟姉妹のなかに、星は星の中に」

  

  

王さまは、自分の服に 黄色い星を つけさせました

   

  

翌朝

王さまは 胸に 黄色い星をつけた 服を着て

いつものように 街を まわりました

    

   

その日から

デンマークの人びとは、自分が何をすべきか、わかりました

デンマークの ひとたちは、

星を 胸につけ

王さまと思いを 一つにしたのでした

     

           ・・・

「黄色い星」の話は、クリスチャン10世ののエピソードからつくられたものです。ナチスに対する、クリスチャン10世の抵抗については、言い伝えのようなものしか残っていないことを、作者は「あとがき」に書いています。しかし、国王はデンマーク人が誰も同じ星を身に着けることが支援になると考えたこと、またデンマークに住む多くのユダヤ人を救出できたことなど、この絵本の物語を裏づけるような事実もたくさんありました。デンマーク国王、クリスチャン10世(1870-1947)は、気骨ある人物でしたが、歴史的な評価はこれからでしょう。

 

        

訳者の那須田淳さんは、次のように言っています。


「今でも世界のいたるところで、差別や迫害がおきています・・・この物語は、かつての歴史のお話ではなくて、今のわたしたちの問題にもつながることだと思って読んでもらえたらうれしいです」

                ・・・

※『黄色い星』 カーメン・アグラ・ディーディ文、ヘンリー・ソレンセン絵、那須田淳訳、BL出版 2021年  (2025/8/18)

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